本の紹介2

紹介(9) 『燃えつきた地図』 安部公房 

「コーヒーをかけてしまったの。あれは、おとといだったかしら? そうね、弟の告別式があった日……そうよ、あなたが寄っていらっしゃった、あのすぐ後ね……コーヒーの染みは、なかなか落ちないのよ……それで、クリーニングに出しちゃったの……誰かと話していたら…

紹介(8) 『燃えつきた地図』 安部公房 

もっとも、理想を言えば、観察時間はやはり夜のほうがいい。そして、最低、二時間はかけてみる必要がある。さらに、相手と空想の食事をともにして、上役になって命令したり、同僚になってぐちを聞いてやったり、部下になって小言を言われてみたり、相手が女…

紹介(7)『祖国のために死ぬこと』 E・H・カントロヴィッチ 

それゆえ、キリストの神秘体という観念は、―この観念の普遍的な意義と最終的な影響力はどれほどこれを評価しても、そう容易に評価しすぎることにはならないのであるが、―このように教義と典礼にの領域に起源を有している。カロリング朝の神学者が用いる言葉…

紹介(6) 『祖国のために死ぬこと』 E・H・カントロヴィッチ 

グレゴリウス七世の時代以来ずっと、ある危険な観念が、教皇の政治理論に影響を与えていた。それは、教会と帝国を太陽と月で象徴させる理念である。大きさの違う二つの天体がともに天にあるということは、それ自体、王権と教権との関係を示唆するものであっ…

紹介(16) 『捜神記』 干宝 

42 扶南王 扶南王の范尋は、山の中に虎を飼っていて、罪を犯した者があると虎に投げあたえ、虎が食わなければ、ゆるすことにしていた。そこで、この山は大虫とも大霊とも呼ばれる。また、尋は鰐を十匹飼っていて、罪を犯した者があると鰐に投げあたえ、鰐が…

紹介(15) 『捜神記』 干宝 

130 鶏の怪異 漢の宣帝の黄竜元年(前四九年)未央宮の輅軨と呼ばれる厩舎のなかで、めんどりがおんどりに変わった。しかし、その鶏は、羽のようすが変っただけでときも告げないし、成長もしない。またけづめも生えなかった。 元帝の初元元年(前四八年)宰…

紹介(14) 『捜神記』 干宝 

254 天から銭を借りた夢 周擥嘖は、貧乏ではあったが道義を愛する人であった。 あるとき夫婦して夜まで畑仕事を続け、疲れきって横になった。すると夢の中で天帝が立ち寄り、嘖を憐れみ、恵みを与えてやるようにと部下に命じた。すると司命が閻魔帳をしらべ…

紹介(13) 『黄金伝説』 ヤコブス・デ・ウォラギネ 

司教は、答えた。「とんだ失礼をいたしました。あの少年のたましいは、死んでしまいました。いまは盗賊や人殺しといっしょにむこうの山中に住み、一味の首領になっております」ヨハネは、これを聞くと、衣服を引き裂き、われとわが顔を打って、「あなたは、…

紹介(12) 『黄金伝説』 ヤコブス・デ・ウォラギネ 

……「キリストは、天から地にご降臨になったので、頭を上にした十字架におあがりになった。しかし、わたしは、地上から天へ行くにあたいするとされたわけだから、わたしの頭は地にむき、足は天にむくようにしてもらいたい。つまり、わたしは主とおなじ恰好で…

紹介(11) 『黄金伝説』 ヤコブス・デ・ウォラギネ 

ヨハネによる福音書(4:43)ふつかの後に、イエスはここを去ってガリラヤへ行かれた。(4:44)イエスはみずからはっきり、「預言者は、自分の故郷で敬われないものだ」と言われたのである。(4:45)ガリラヤに着かれると、ガリラヤの人たちはイエスを歓迎…